
私はバッハの曲が好きで、弾くことが大好きです。
先日、バッハコンクールの全国大会に出場しました。昨年に引き続き、2年連続の挑戦です。
結果、賞をいただくことはできませんでしたが、振り返って、今年の挑戦は私にとって大きな意味がありました。
バッハの音楽には独特の魅力があり、弾いていると心が整い、頭がクリアになっていく感覚があります。
そんなバッハの曲をより深く学び、演奏することは、私にとって大切な時間です。
そんな私のバッハコンクールへの挑戦を振り返りながら、「バッハの曲を弾く魅力」と「大人になってからのコンクール挑戦」について書いていきたいと思います。
- バッハの魅力
- 大人のコンクール挑戦
- コンクール参加で気づいたこと
目次[表示]
バッハの曲を弾く魅力とは?
バッハの音楽は「永遠のテーマ」とも言えるほど奥が深く、弾けば弾くほど新しい発見があります。
私は子どもの頃からバッハの曲に親しんできましたが、大人になってピアノを再開し、またバッハの曲と向き合うことで、その魅力をより深く感じられました。
バッハの作品の大きな特徴のひとつは、ポリフォニー(多声音楽)です。
メロディーが単独で存在するのではなく、複数の旋律が独立しながら絡み合い、美しい調和を保ちます。
たとえばインヴェンションやシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどは、各音声部がまるで会話をしているかのようです。
また、バッハの曲を弾いていると、「心が整い、頭がクリアになる」感覚があります。
ポリフォニーの音楽を弾くには、左手と右手のバランスを意識し、各音声部の流れを考えながら演奏する必要があり、また譜読みから集中して音を紡ぐことで、余計な雑念が消え、心が研ぎ澄まされていくのです。
さらに、バッハの音楽は楽譜に書かれた情報がシンプルだからこそ、演奏する際にどれだけ解釈を深めるかによって、表現の幅が大きく変わります。
演奏する自分自身の解釈や音の聴き方が大事になってくると思いますが、指使い、フレーズの歌わせ方ひとつで、音楽の印象がガラリと変わるのです。
また、演奏する人、先生によっても解釈が様々なので、ノーペダルを推奨する先生もいれば、ペダルを少しだけ使用する先生、ペダルを多く使用する先生等本当に様々です。
バッハを演奏することで、私は「ピアノを弾く技術」だけでなく、「音楽を深く聴く力」や「楽譜を読み解く力」も鍛えられると感じます。
多くの先生方がよくおっしゃっているなと、大人になって気づいたのですが、「バッハはむずかしいけど・・・」という「むずかしい」という表現。
個人的には言う必要がないと思っています。バッハの曲はいい曲ばかりです。
本当に生徒に取り組んでほしいと考えているのであれば、前向きな表現でいいと思いますね。
「バッハの曲はおもしろいよ」とか「ハーモニーがきれいだよ」「たくさんの音が聴けるようになるよ」などなど。
実際、私は小学生時代に先生から「バッハ=難しい」と言われた事がないので、素直にすんなりと練習に取り組み、バッハに向き合えたのだと思っています。
先入観を先に植え付けては、こどもは「難しい=私には、僕にはできない」になってしまう要因のひとつではないかと思うのです。
バッハコンクールを通じて学んだこと
バッハコンクールを通じて、演奏技術だけでなく、音楽への向き合い方についても多くの学びがありました。
特に印象的だったのは、審査員の講評を読んで気づいた「和声の理解」「アナリーゼ(楽曲分析)」の重要性です。
こどもの頃、レッスンに通っていたときは音高、音大にいくわけではなかったので楽典の勉強等を深く学でいませんでした。
しかし、大人になって再開してみて改めて、学んでみたいと思うことが多くなりました。ただ、自分にあった勉強法や手段がみつからず模索中です。
バッハの音楽は、単なる音の並びではなく、緻密に組み立てられた構造を持っています。そのため、ただ指を動かして弾くだけでなく、「このフレーズはどのような和声進行をしているのか?」 を深く考えることが、より豊かな演奏につながると実感しました。
バッハの曲に限らずですが、和声進行や分析、構成などもっと自分で考えて練習できるようになるまでに成長したいな、というのが私の理想であり、目標です!!
昨年と今年のコンクールの内容の違いを振り返ることで、コンクールに対する心の持ち方も大切だと感じました。
昨年は純粋に「楽しもう」という気持ちで弾けたのに対し、今年は「結果を出さなければ」と意識しすぎたことで、演奏に力みが出てしまいました。
この経験から、来年はもっと準備期間を長くとり、和声やアナリーゼの勉強も取り入れながら、より深みのある演奏を目指したいと思います。
バッハの音楽を探求する旅は終わることがなく、だからこそ続ける価値があるのだと強く感じています。
バッハコンクールへの参加を続けるために
今年のコンクールを通じて、「大人のピアノ学習」ならではの課題もあります。
大人になると仕事や家庭のことなど、ピアノだけに集中する時間を確保するのが難しくなります。
その中で、どのように効率よく練習し、どのように自分の成長を感じていくか——これが、大人のピアノ再開の醍醐味でもあり、難しさでもあるのだと実感しながら日々楽しく練習しています。
大人になってからのピアノは、単に技術を向上させるだけではなく、「自分と向き合う時間」でもある と私は思います。
今年のコンクールの結果は悔しかったですが、その悔しさが「もっと深く学びたい」という気持ちにつながっています。
ピアノを再開して、こうして挑戦を続けられること、今まで知らなかったバッハの曲に出会うことが自体が、大きな喜びなのかもしれません。